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マタニティブルー②

数日後、お義母さんが俺の顔をじっと見て 「詩音君、夜ちゃんと寝てないでしょ。 あのね、子育ては頑張らなくていいんだよ。 赤ちゃんは本能そのものだからね、嫌な時は飲まない。 喋れないから、要求は全て『泣く』。 眠くても泣くし、お腹が空いても泣く。 ただ単に泣きたい気分の時もね。 最初は訳分かんなくて、俺もよく一緒に泣いてたな。」 「お義母さんも!?」 「うん。右京君もね。みんな一緒。 だって、赤ちゃんって、怪獣だよ!? 泣くばっかで何で泣いてんのか、ちっとも分かんないもん。 “不機嫌な色”しか見えないんだもん。 でもね、段々と、その怪獣がどうして泣いてるか不思議と分かるようになるんだ。 でもさ、詩音君、超嗅覚でしょ? 匂いでも分かるようになるよ!」 あ… 「お義母さん…俺、それすらも忘れてた…」 「あははっ!大丈夫、大丈夫。 仁君は、ママが大好きだよ。 お腹の中にいる時から、匂いで分かってたでしょ?」 こくりと頷く俺の頭をポンポンと撫でたお義母さんは、にっこりと笑った。 「お義母さん…」 「うん、なぁに?」 「お義母さんは…超視覚?」 「あはっ、今更!? そう。俺はね、右京君と同じで超視覚だよ。」 「そうだったんだ…」 「詩音君と初めて会った時、虹色の美しいオーラが見えたんだ。 『絶対この子と仲良くなれる』そう確信してた。 詩音君のお母さんも同じだったよ。 仁君もね。この子も詩音君から受け継いだ美しいオーラに包まれてる。 今はまだ小さ過ぎて、手を焼かすことばかりだけれど、いい子に育つよ。 だから心配いらない。 詩音君、のんびりみんなで育てようね。」 「…お義母さん…」 甘くて優しい匂いのお義母さんに抱きついて泣いた。 お義母さん、大好き。

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