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マタニティブルー⑥

残された俺達は… 顔を見合わせて吹き出した。 「くくくっ…相変わらずだなぁ、あの人は… 詩音、あれがお前の義理の母だ。 諦めてくれ。」 「ふふふっ…お義母さん…大好きです! お義母さんのお陰で、俺、どんなに気持ちが前向きになって、安らいで落ち着くか… 感謝しても感謝しても、しきれないんです。 お義母さん…大好き。」 眉間を寄せた継の顔が近付いてきて 「いくら自分の母親でも『大好き』を連呼されたら、気に入らないな… 俺は? 俺のことは?」 俺は勇気を振り絞って、ちゅ と唇に軽いキスをしてささやいた。 「継のことは…愛してるに決まってるじゃないですか…」 真っ赤になりながらも素直に言葉にした俺を継は満面の笑みでそっと抱き寄せると 「…分かってる…けど…ヤケるな。 お前の一番は俺だと自負しているが… 仁が生まれたから、その地位も危ういし… なぁ、詩音…お前の一番は俺だぞ。いいな?」 くすくすっ 「子供と張り合ってどうすんですか?」 おでこをコツンと合わした継は 「それでも、俺が一番なんだ!」 と譲らない。 「継は継。仁は仁です。 どちらも大切。比べられません。 でも、継…愛していますよ。」 継は、はぁーっ と大きなため息をつくと 「…うーん…複雑…」 と言いながら、俺を抱きしめたまま、駄々をこねるように、ゆらゆらと左右に揺すった。 「ふふっ。継、子供みたい。」 「詩音の前では子供にもなるし、雄にもなるんだぞ。」 ぷうっと頬を膨らます継がかわいくて、頭を撫でてやった。 すると、顔中キスの雨が降ってきて 「俺は、詩音と結ばれて本当に幸せなんだ。 詩音もそうであってほしい。 だから、辛いことは何でも言ってくれ。 俺達で解決できなければ、誰かを頼ろう。 助けてくれる手はいくらでもあるから。」

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