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賑やかな家③
「よいしょ…優君、何が気に入らないのかなー?」
お義母さんに抱かれた優君は、次第に泣き止んでいった。
「やっぱり…」
大きなため息をついた右京さんは
「優…多分、仁君にヤキモチ焼いてるんだ。
『お義母さんを取られた』って思ったんだよ、きっと。
チビのくせに一丁前に…
ごめんね、仁君。
君の従兄弟はヤキモチ焼きの心の狭い男だったよ…」
呆れたように言う右京さんに、お義母さんは笑いながら
「あははっ!ヤキモチかぁ…
そんなにまーちゃんのことを気に入ってくれてるんだねぇ!
はいはい。
優君も仁君も、どっちも比べられないよ。
俺の大切な大切なお孫ちゃんだからね!
優君はちょっぴりお兄ちゃんだから、すこーしだけ我慢してもらうこともあるよ。
いいね?」
優君はお義母さんの顔をじーっと見つめていたが、にぱーっ と笑った。
「うん!いい子!」
あははっ
「おっ、賑やかだな!
お帰り、詩音君、仁君!
ただいま、かーちゃん、右京君、優君!」
「「お帰りなさーい」」
「お義父さん!またお世話になります!
よろしくお」
「はい、堅苦しい挨拶は無し!
仁君、じぃじのとこにおいでー!」
右京さんから仁を受け取ったお義父さんは
「お、少し重くなったな。
仁君、かーちゃんだけじゃなくて、じぃじもいるからね。」
仁はこの賑やかさを物ともせず、ぐっすりと眠っている。
「ははっ!大したもんだなぁ。
…全然起きないぞ。」
「やだぁ…パパに似ちゃった?」
「…潤と継もそうだろ?」
右京さんと俺は思わず顔を見合わせた。
「「そうですっ!!」」
また笑いに包まれたリビングで、俺は“帰るべき家に帰ってこれた”ことに、ホッと安堵の息をついた。
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