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賑やかな家④
side:右京
詩音君と仁君が帰ってきて、また賑々 しくなった。
あちこちで笑い声と大音量の泣き声が混じって聞こえる。
“大家族”って感じで…うれしくて堪らない。
毎日ワクワクしてる。寝不足なんかも気にならないくらいに。
俺はこんなの味わったことないから…施設の大所帯の騒々しさとは全く別物だから…
優は、仁君を抱くお義母さんを見ると、時々ヤキモチを焼いて泣いていたが、そのうち大人しくなった。
「優君、偉いねぇ。ちょっぴりお兄ちゃんになったんだね!」
お義母さんに褒められて、何だか得意気に見えるのは気のせいか?
優から、キラキラとご機嫌な色が放たれている。
仁君は…ひたすら寝ている。
大物だ…
彼からは詩音君と同じ、虹色のオーラが出ている。
きっと、詩音君みたいに優しくて芯の強い子に育つんだろうな。
詩音君は
「こんな寝てばかりで大丈夫なんでしょうか?」
と心配していたが、定期検診でも何の問題もなくホッとしていた。
俺も我が子のことのようにホッとした。
「しおーーん!じーん!ただいまぁ!」
おっ、ご主人様のお帰りだよ。
継君は、お昼休みに必ずと言っていいほど帰宅する。
イケメン崩壊。
あのいつものキリリとした凛々しい姿は何処に消えたのか…
うちも大概だけど、詩音君のとこも…
あぁ、大変だ…べったり大型犬…
「右京!優!ただいまぁ!」
「お帰りなさい。あれ?今日外食じゃなかったの?」
「お前達の顔が見たくて帰ってきた。
ん?帰ってきたらダメだったのか?」
ここにもいたよ、大型犬が…
とびきりの笑顔で迎える。
「ううん!お帰り、潤。
ご飯の用意するから待っててね。」
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