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賑やかな家⑧

side:詩音 右京さんが部屋を移った。 理由は…言うまでもない。 ここ二、三日…お義兄さんは声を掛けるのも憚られるくらい、落ち込んでいる。 「行ってきます…」 右京さんは部屋から出てこない。 「行ってきます…」 もう一人いたよ。落ち込んでる人が。 俺も部屋から出ない。 仁と引き(こも)っている。 理由は…言うまでもない。 とぼとぼと二匹の駄犬が出て行ってから、示し合わせたように右京さんと部屋を出る。 「詩音君、仁君、おはよー!」 「右京さん、優君、おはようございます!」 キッチンへ顔を出して 「「お義母さん!おはようございますっ!」」 「はい、みんなおはよう! あの節操なしの駄犬達は出掛けたよ。 さあ、ご飯にしようか。」 わらわらと手伝いに寄っていくと、もうご飯も味噌汁も装ってあって、ほかほかの湯気が立っていた。 「「「いただきまーす!」」」 離乳食の進んでいる優君は、スプーンを振り回して何か訴えながらパクパク食べている。 俺は味わいながらも急いで食べて、仁のおっぱいタイムに突入だ。 ひと段落した頃、お義母さんが 「あの馬鹿犬達はどうしようもないなぁ… お相手するのは自分の身体を考えてからでいいからね!」 ぼっ と顔を赤らめる右京さんと俺。 右京さんが恐る恐るお義母さんに尋ねた。 「あの…お義父さんとお義母さんは…その… どうしてるの?」 あははっ と満面の笑みを浮かべたお義母さんは 「ほら、俺達は年も年だし、それなりに…ね? “それなり”って言っても、『あの』パパだからさ…うん、適当にお相手してるよー。」 「嫌な訳じゃないんだ… 『ヤらせろ』って…ムードもへったくれもない! 俺、傷もあるし、ぷよぷよになったし。 何かもう、タイミングが…」 ごにょごにょと、独り言のように呟いた右京さんの顔は、真っ赤だった。

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