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賑やかな家⑩
その夜、お義兄さんはここ何日間かの落ち込みは何処へ行ったのか、超ご機嫌で早々に帰宅してきた。
続いて帰ってきた継は俺の顔色を伺いながら。
「右京ぉー!ほら、一緒に食べよう!
優…パパのとこにおいでー!」
右京さんに必要以上に纏わりつくお義兄さん…
…あの会話の後に、お義母さんがラ◯ンしてたのは…お義兄さんだ。
きっと、週末も仕事でいないことがあるから、段取りして仕事をきっちりと片付けて、週末のデートに備えるように とでも言われたのだろう。
何か…エッチのお膳立てされてるようで…ちょっと嫌だ。
そこへ右京さんがそっと側へやって来た。
「詩音君…ちょっと…」
右京さんのお籠り部屋へ連れて行かれた。
「“如何にも”って感じで嫌だよね…」
「…はい。何だかソレが目的みたいな…」
「結果としてはそうなると思うけど…でもさ、
二人っきりなんて久し振りだし、もう気にしないで楽しんで来ることにしたよ。
お義母さんは、まーったく悪気なんてないよ。
俺達のためにって動いてるだけ。
多分ね、自分がそうしたかったことを俺達にしてくれてるんだと思うよ。」
「あ…」
真理子さんのことが浮かんだ。
右京さんはパチンとウインクすると
「こんなことでもなけりゃ、レスが続きそうだったんだ。
ほら、俺も意地っ張りだからさ。
香川先生からオッケーが出てから、ここ数カ月で二回しかしてないからね。
潤には完全に“お預け”状態にさせてるから…アイツにも酷なことしてる自覚はあるんだ。
だから…お義母さんの申し出はありがたく受けようと思うんだ。」
男前な兄嫁は、恥ずかしそうに、それでもはっきりと宣言した。
俺も…継の嬉しそうな顔が浮かんで…いつの間にか わだかまりも消えて、つられて頷いていた。
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