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お久し振りね side:潤②

思わず出たお祈りポーズと、縋る瞳を一瞥した秘書殿は 「…承知致しました… 会議の時間を三十分早めましょう。 柴崎社長には早めに来ていただくよう連絡を致します…あの方は余談が長くなるので、先に契約を済ませて適当な所でお帰りを促すとして… すぐに手配いたします。 では取り急ぎ、この書類を今日中に仕上げていただきましょうか…」 俺がワガママを言うのは、右京絡みのことだとバレている。 有能な秘書殿は、書類を目の前の机の上に、ダン っと積み上げた。 「さぁ、社長。頑張りましょうか。」 明日のお楽しみのためだ! 俺はやる時はやるんだ! 気合いを入れて一気に片付け始めた。 この、冷徹で頭が切れ、オマケに美貌の秘書殿は、その名を『新道 朱里(しゅり)』という。 女性のαで、年は三十七才。本厄だ。 本人は微妙に気にしているらしい。 三才年上の、溺愛する(よめ)がいる。 子供は、綺麗に揃ったバースの、男(α)、女(β)、男(Ω)、の三人(やるなぁ)。 右京のことも、よく相談に乗ってもらっている。 (おく)様は男性Ω。 気さくで、気配り心配りMAXのよくできた人だ。 フラワーアレンジメントの講師で、花屋で働いていた右京と話が合うらしく、楽しそうにラ◯ンのやり取りをしているのを時々見かけた。 その度に ちょっと焼けた。 新道秘書には、俺がどう転んでも頭が上がらない。 ちょっとお袋に似てるところがあって、絶対に逆らえない。 いつも手の平で弄ばれているような気がする。 「はぁーっ…終わった…」 定刻三十分前に明日やるべき仕事を終えた。 「お疲れ様です。 いつもこのくらい集中して仕事をして下さると、みんな助かるのですけれど…」 ちろん と咎めるような目つきで睨まれた。

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