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お久し振りね side:潤⑨
「潤…」
うっとりと俺を見つめる右京を横抱きにして、キスしながらバスルームへ向かった。
床にそっと足を下ろしてやり、もう一度キス。
ちゅっ、ちゅっ、と音を立てながらキスを繰り返し、スーツを脱がせ合う。
皺になるのが嫌なのか、右京は
「潤…スーツが…」
「分かってる。ちゃんとハンガーに掛けるから。」
目の前には俺の息子を産んだ証の傷がくっきりと見えた。
それを隠そうとした右京の両手をやんわりと解き、跪いて、そっとその傷跡を舐める。
びくりと跳ねる腰を捕まえ、優しくなぞっていくと、右京の身体がふるふると震え始めた。
「…潤…皺になっちゃう…」
俺は頷いて立ち上がり、二人分のスーツを抱えて一旦右京の側から離れる。
バスローブを掛けてやることも忘れずに。
「待ってて。」
髪にキスを落とし、急いでクロークに片付けて戻ると、右京は大人しくその場でじっと待っていた。
「右京…おいで…」
少し照明を落とし、バスローブを剥ぎ取ると、白い肌が浮かび上がる。
『ぷよぷよだ』と右京は言っていたが、前とそれ程変わらないし、寧ろ抱き心地がいいくらいだ。
手を繋いでドアを開けると
「何人でも入れそう…」
右京が呟いた。それくらい、規格外に広いのだ。
「お前は俺以外の誰かと入るつもりか?」
ついつい咎める口調になってしまった。
「そんな…あり得ない。絶対に。
あ!優は別だよ?」
美しく潤む目で反論されたら、もう我慢できなくなった。
抱きしめて噛み付くようなキスをして口を塞ぐと、シャワーのコックを捻った。
二人の肌に当たる飛沫が蒸気となり、靄 がかかる。
ボディソープを手に取り、右京の身体を撫で摩り、俺も一緒に泡だらけになっていく。
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