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葛藤 side:右京①
とんでもないことになった。
お義母さん…息子夫夫のエッチに介入なんて…
ありえなーーいっ!!!
優を一晩預かるって…その間に夫夫がすることなんて決まってるよ!
家族公認で“ヤりに行きます”って言ってるようなもんじゃん!
あぁ…恥ずかしい…
ベッドの上でゴロゴロと もんどりうって。
頭の中で、アンナコトやコンナコトがスライドショーみたいに流れていく。
いくらお義母さんが大好きでも、性格も何もかも分かっているんだけども。
これは…どうなんだろう。
OK?NG?
オマケにエステ?
磨き上げられ何処かの王族に差し出される奴隷の気分…
あぁ…カオスだ。支離滅裂の大盤振る舞いだ。
コンコン
「…はい、どうぞ。」
ひょっこりと顔を覗かせたのは、元凶のお義母さん!
「右京君…ちょっといいかな?」
「はい!どうぞ。」
マグカップとお菓子をお盆に乗せて、お義母さんが入ってきた。
「あのね、ごめんね。」
「え…」
「突拍子もないこと言ってるのは自覚してるんだよ。
お節介。子離れできない親。
それも分かってるんだ。」
お義母さんは俺にホットミルクの入ったマグカップを手渡しながら、申し訳なさそうに話し始めた。
その身体は、いつものお義母さんらしくない、濃いグレーのオーラにどっぷりと包まれていた。
「…パパと俺がね、潤を産んだ後にそういうタイミングを逃しちゃって、なかなか上手くいかなかったんだよ。
潤と継と、結構年の差があるだろ?
パパは俺をかわいがりたくてウズウズして。
俺は子育てでそれどころじゃなくって。
パパの気持ちは十分分かるんだけど、そうはいかなかった。
子供を預けるなんて非難される時代だったし。
それでよく喧嘩になって、離婚もチラつく程 辛かったんだ。
…だから、余計なお世話だと思ったんだけど、右京君達も俺達みたいな思いはさせたくなくって…ごめんね。」
お義母さんは、一気に言葉を紡ぐと、ため息をついて、ミルクを一口飲んだ。
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