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お久し振りね side:右京③

優の相手をしながらおやつを楽しみ、俺の髪型のことやエステの話で盛り上がり…詩音君は“自分の時はどうしよう”と戸惑っていたが、『大丈夫、大丈夫。』とお義母さんと慰めた。 「右京君、そろそろ準備したら? 潤のことだから、速攻で帰ってくるよ!」 「ホントだ!もうこんな時間!? 結局今日も、お義母さんと詩音君に優の面倒を見させちゃった…ごめんなさい。」 「お義母さんがみててくれたから、俺は何もしてないよ。 右京さん、デート楽しんできてね!」 「ありがとう。明日もよろしくね。」 「優君はまーちゃんと、こねこねして仲良ししてるんだもんねー。 遠慮しないでのんびりしておいで!」 「はいっ!お願いしますっ!」 部屋に飛び込んでダッシュで着替えた。 仕上げは…潤がプレゼントしてくれたスーツ一式にネクタイと時計。 前後(まえうし)ろと鏡に映して確認して見ていると 「右京ーっ!ただいまーっ!」 ドタドタドタ 「右京っ!何処っ!?」 えっ!?もう帰ってきたの?嘘っ…一応出迎えなきゃ。 「お帰り。お疲れ様、潤… もう〜何だよっ!うるさいっ!」 「右京…」 手を取られ引っ張られた。 「お袋っ!あと、よろしく! 優…お利口にしててくれよ… 行ってきまーす!!!」 「ちょっと…潤っ!お義母さーん!助けて! すみません、あとお願いしますっ!」 慌ただしく連れ出され、取り敢えずは恭しく開けられた助手席に滑り込んだ。 俺のリクエスト通り、フレンチに連れて行ってくれるみたい。それも、俺達が初めてのデートで行ったレストラン。 本当に二人っきりなんて…デートだ。 ちょっとだけ緊張する。 潤からはもうピンクのハートしか飛んでこない。 そんなに…うれしいのか?潤… …俺も、うれしいけれど。 顔には出さず、窓の外を眺めていた。

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