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お久し振りね side:右京⑦
ここは…超が付く有名な高級ホテル…
こんな所予約したんだ…一体いつ?
チェックインする後ろ姿…どこから見てもやっぱり潤はカッコいい。
隣で手続きをする女性もチラチラ見てる。
見るな。潤が減るだろ。
「右京、お待たせ。行こうか。」
手を繋がれ、優越感に浸りながらエレベーターへ。
自然と身体が潤にくっ付いていた。
潤からは俺のことだけを思っている匂いと、情欲の濃い色が俺に纏わり付いてくる。
俺からも…ひたすらに番を思う匂いが溢れて止まらなくなっていた。
潤…俺はあなたが思っている以上に、あなたのことを愛しています。
その思いが届いたのか、潤が俺を見つめる目が壮絶に欲を増していく。
堪らない。
ぶるりと身体が震える。
こんなにも、こんなにも、身体も心も求められているなんて。
上昇するエレベーターの速度がやけに遅く感じる。
もう待てない…そう思った時、ドアが開いた。
手を引かれ、もつれ合うように部屋へ入って驚いた。
「うわぁ…潤…贅沢じゃない?
嘘っ。広い。部屋、幾つあるの?」
あちこちのドアを開けて部屋を見て回る。
これは…スイート?
新婚旅行の時みたいな豪華さだ。
あの時は紺碧の美しい海に囲まれて、波間を漂うようだった…今夜は星空の中に浮かんでいるような錯覚さえ覚えた。
「綺麗…俺達、星空の中にいるみたいだね。
…新婚旅行思い出しちゃった。」
側にいた潤の肩にもたれかかった。
「あの時は海も見えたな。今日は星空だ。
右京…俺の愛を証明してやるよ。」
目を閉じて優しいキスを受け止めると
「その前に、シャワーを…」
「じゃあ、一緒に入ろう。洗ってやる。」
「ダメだよ…」
「どうして?」
「だって…傷跡残ってるし…俺、身体ぷよぷよだから…」
「どんな右京も、右京に変わりはないんだから。
俺に全部させろ。
その傷も…愛させてくれ。」
潤は恭 しく跪いて左手の指輪に口付けた。
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