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お久し振りね side:右京⑨
(何人でも入れそう)と呟く俺にヤキモチを焼いたのか、潤が『誰と入るつもりか』と拗ねる。
反論するが、熱情を孕んだ目で見つめられると、もう抗う事は叶わない。
シャワーの熱いお湯が二人の肌に当たって跳ね上がり、蒸気となって舞い上がる。
白く煙った空間に、潤と俺の匂いが交錯する。
ボディソープで身体中泡だらけになりながら撫で擦られて、腰は勝手にくねり始め、口から甘い声が零れ落ちる。
ソープの滑りを借りて、潤は俺自身や後孔まで綺麗に洗っていく。
「あ…っ…潤…そこは自分で…あんっ…」
「ダメだよ…これは俺しかできないんだから。
ほら…しっかり掴まって…」
「あっ、ダメっ…あんっ…止めて…」
嫌だと言っても止めてはくれない。
止めてほしくもない。
身体中どこもかしこも思う存分洗い尽くされて、ぐったりしたまま湯船に浸かった。
後ろから抱きしめられ、締まりのない身体を触られたくはないが『今のままでいい』と。
俺に労いと…『愛してる』の言葉。
無限に放たれる雄を誘うフェロモンを止める術もなく、優しい口付けを目を閉じて受け止めた。
もう、歯止めが効かない。
逆上せてしまうとか、全身見られてるとか、そんなことは何処かに置き忘れ、ただ潤を求め求められていく。
ふと、マエダヒカルの顔が浮かんだ。
過去は過去。潤が、どんな人とどれだけの人数付き合っていたかは分からない。
あんな子が、これからも現れるかもしれない。
俺達は運命の番。
俺は…潤に選ばれた“たった一人の”伴侶。
どんなことがあっても離れられない。
潤は『結婚してからはお前だけ』と言ったその言葉を信じて…
息が止まるような口付けの合間に、途切れ途切れに聞いた。
「…潤、これからも、ずっと…俺だけ?
信じて…いいの?」
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