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羨望 side:詩音①

「たっだいまー!しおーん!じーん!」 嵐のようにお義兄さんと右京さんが出掛けて行ったその後、何も知らずに ご機嫌で継が帰ってきた。 手を洗って俺達に“ただいま”のキスをした継は 「おーい!優君もただいま! あれ?お袋、この時間に優君の抱っこ珍しい。兄貴まだなのか?」 お義母さんが抱っこする優君にも挨拶をして、キョロキョロしていた。 「あのね、お二人はデートなんです!」 「デート?」 「そうなんだよー。 二人きりなんて久し振りだから、優君を見ててあげるから行っておいでって、俺が無理矢理ね。 『パパとママはラブラブデートなんでちゅー』 あははっ!」 お義母さんは優君の手を腹話術の人形のように動かして、継に話し掛けていた。 「…ふーん…二人っきりで…デートかぁ… ………ふーん…」 あ…不機嫌になってる。 こんな時は… 「継!今夜は継の好きな唐揚げですよ。 たくさん作ったから、たーくさん食べて下さいね。」 仁を抱っこしたまま、一緒にスーツの腕に擦り寄った。 継はふわりと笑うと「サンキュー」と言って頭を撫でてくれた。 少し…不機嫌な匂いが減った気がする。 「先に食べますか?それともお風呂にしますか?」 「兄貴いないなら先に入るよ。」 「じゃあ、後で着替え持っていきますね。」 継は頷いて、ネクタイを緩めながらバスルームへ行ってしまった。 「…お義母さん…」 「…うん、まだちょっと不機嫌だね。 後でさ『もう少し落ち着いたら俺達も』って教えてあげなよ。 フォローしないと、ありゃあ、しばらく拗ねるよ、きっと。」 「はい!着替え持って行く時に伝えますね。」 俺は仁を座布団の上に寝かせて、継の着替えの準備をしに行った。 バスタオルや下着と交換に、バスケットに無造作に掛けられたスーツを抱えると、継の匂いがした。 あ…この匂い、大好き… そっと抱きしめていると、継が風呂から上がってきた。

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