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羨望 side:詩音④

その後の継はご機嫌だった。 「継おじちゃん、何だかねぇ、気持ち悪いくらいなんだよねぇ。」 優君を膝に乗せて、また腹話術を始めるお義母さん。 手を“かいぐりかいぐり”されて、優君はきゃあきゃあ声を上げて絶好調にご機嫌。 それを見ている仁も、うれしくて手足をバタバタさせている。 「おっ、おチビは二人ともご機嫌さんだな。 今夜はじいじが風呂に入れてやるぞ。」 「わーい!じいじとお風呂だぁー!」 お義母さんが膝を揺らすと、それだけで面白いのか、優君がはしゃぐ。 あんなことで面白いんだ… 子供って何でも楽しいんだね。 「親父、仁も入れてくれるのか?」 「モチのロンよっ!優君の次に入れてやるよ。 待ってな!」 「サンキュー!俺、先に入っちゃったから…」 「いいじゃないか。俺も仁君と入りたいからな。」 お義父さんと継の会話を微笑ましく聞きながら、俺は晩御飯の後片付けをしていた。 明日のご飯もタイマーを仕掛けて…終了っ! はっ! …忘れてた…継の… 『何もしない』って言ったよね、確かに… 『裸でぎゅーだけ』って言ったよね!? ………それ以上されたら…取り敢えず拒否だ。 「詩音くーん!」 あ、お義母さんが呼んでる! 「はーーい!!」 「あのね、後でアイス食べよ! パパがお土産買って来てくれたんだ!」 「やったぁー!…俺達もいいんですか?」 「うん!ちゃんと詩音君の分もあるからね。 ふふっ。楽しみっ! 『ボクも食べたいんでちゅ』 あははっ!優君はお預けだよ!」 その後、大騒ぎで二人のチビ助をお風呂に入れてもらい、お義母さんに続いて急いで入って、“プレミアム”の名前のついた高級なアイスを美味しくいただいたのだった。

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