627 / 829
羨望 side:詩音⑦
「え?…そんなに態度に出てた?」
「…はい。
まるで『仁が邪魔』って言われてるみたいで…俺、悲しくて…」
「…ごめん…ホントにそんなつもりじゃ…
でも、そう思わせてたなら謝る。
ごめん。悪かった。」
謝る継を無視して、また背中を向けた。
「……………」
「詩音と早く二人でイチャイチャしたくて…
あ!でも仁を邪魔者にしてた訳じゃないぞ!?
…詩音…ごめんってば…ねぇ…ごめんなさい…
詩音…ねぇ…」
甘えるような声と匂いと、すりすりと密着してくる背中越しの肌。
甘えたの猛獣。
スキダスキダ
アイシテルアイシテル
甘い声なき声にささやかれ包まれて、俺は怒ってるはずなのに、身体が火照りおかしくなりそうだった。
ふわん
遂に俺から継に応える匂いが出てしまった。
「…詩音…」
もう、ダメだ。抗えない。
意地っ張りの俺を継が抱き寄せる。
「…継…仁は、俺達の大切な大切な家族なんですっ。
だから、だから」
むぐっ
唇を塞がれ、長い、長いキスをした。
もうその頃には、硬直していた俺の身体はしなやかに継に絡み付き、継を誘う甘やかな匂いを放出していた。
しばらくしてやっと離れる頃には、お互いの息が上がる程の濃厚なキス。
「…っ…はぁ…はぁっ…」
「…詩音…っ…ごめんな…」
また…唇を奪われた。
「っ…今日はっ、今日は何もしないって!」
「…うん…何もしない…キスだけ…お願い…
…ね?」
そう言うそばから、継はするすると俺の着ている物を脱がせて、裸にしてしまう。
「継っ!!!」
俺の抗議の声も無視して、自分も脱いでしまうと、俺を懐に抱き込んでしまった。
継の固くて脈打つモノが、俺のと擦れ合う。
思わず腰を引くと、また戻される。
書籍の購入
ともだちにシェアしよう!