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羨望 side:詩音⑧

継は俺を抱きしめ、腰を少し揺らしながら 「ホントに、ホントに何もしないから。 お願いだから、このまま寝させて。 …我慢するから…お願い…」 “我慢”って…“お願い”されても… 抜け出そうにも、身体を動かしたらもっと擦れちゃうから…身じろぎひとつできない。 大きくため息をつきながら 「絶対、絶対、何もしないで。 …俺、まだ…ゴメンナサイ…」 じわりと涙が出てきた。 この涙は、継に対して申し訳ないと思うからなのか、エッチを再開することに(痛かったら…とかまた妊娠したら…とかの)対する恐怖からなのか、右京さん達に対する羨ましさからなのか… とにかく、雑多な感情が入り混じったものだった。 慌てたのは継だ。 「えっ!?詩音っ!?何で?えっ? …泣くほど…嫌だったのか……ごめん…」 そうか…ダメなんだな…そう呟くと、そっと俺から離れ、ごめんな、と髪の毛にキスをすると服を着せてくれた。 俺はその間も無言で…言葉を出せなくて… 着せ終わると、継は俺の頭を撫でて 「ごめんな。」 と言って服を片手に出て行ってしまった。 ふえっ…ふえっ…うわぁーーん タイミングを計ったかのように、仁が泣き始めた。 仁…お腹空いたのかな? よいしょとベッドから下りて、オムツを確認する。 新しい物に替えてからウェットシートで手を拭いて、乳首を含ませると、んくんく と勢い良く飲み始めた。 仁…俺、パパと上手くいかないよ。 パパ、怒って行っちゃった。 どうしたらいいんだろう。 ふと、仁と目が合った。 にぱぁー っと笑う仁を見てると、また泣けてきた。 お腹一杯になったのか、もういらないと首を横に振る仁の背中をとんとんと叩いてゲップさせる。 満ち足りた顔で寝始めた仁の頬にキスをして、そっとベビーベッドに横たえると、仁は何事もなかったかのように、くぅくぅ寝息を立ててまた眠ってしまった。

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