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疑念②
箸を持ったまま、継の様子を窺い見る。
視線を感じたのか
「ん?どうしたの、詩音?」
「あ…いいえ、お口に合ってるのかな…って思って…」
「当たり前じゃん!安定の美味さ!お代わりくれる?」
はい、と茶碗を受け取ってご飯をよそい、手渡す。
いつもの光景。
…どこもおかしなところはない。
でも、あの匂い…一体、何処で?誰と?
ぶすぶすと燻るこの思いは…嫉妬!?
「だぁー、まー」
仁に腕を叩かれた。
じっと見つめられ、はっと我に返った。
「どうしたの、仁?お遊びはご飯が終わってからね。」
「まぁー、まぁー」
手を伸ばしてくる仁をよいしょと抱っこして席を立った。
「詩音、ほとんど食べてないじゃないか。
ほら、仁、パパのとこにおいで。
ママ、ご飯まだなんだよ。ゆっくり食べさせて、ね?」
ぶぅーーっ と抗議の声を上げた仁だったが、俺の顔を見ると首を傾げ、継に手を伸ばした。
「継だってまだじゃないですか!
俺は大丈夫ですから。ほら、仁、おいで。」
「俺はあと一口だから。
詩音、ちゃんと座って食べなさい。
おい、仁。空気読めよ。」
ぶぅーーっ と口をへの字にした仁は、それでも大人しく継に抱かれていた。
一気に食欲を無くしていた俺は、三口 程咀嚼して、すぐに流しに持っていき、残った物はタッパーに詰め替え、冷蔵庫に入れた。
やだ…あの匂い、まだする。
あの匂いのする継と一緒にいたくない…
嫌だ、嫌だ。
押し寄せる強い拒否感。
匂いだけが主張する得体の知れない相手。
どうして継から?
どんな関係?
聞きたいけど聞けない。怖い。
俺が相手をしないから、誰か他の人と?
ぐるぐると嫌な方向に考えが進んでいく。
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