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デート♡デート♡デート♡⑤
その日の俺は、朝からキッチリと仕事を進め、もう午前中には全ての業務を終了させていた。
ついでに来週の分も…と張り切って済ませると
「社長…月曜もお休みになさいますか?
あまり進めてしまうと、他の社員が追いつくのが大変かと…」
ありがたい申し出に頬が緩む。
「篠山さんっ!ありがとう!
では遠慮なくそうさせてもらうよ。」
まだかまだか と定時になるのを待ち兼ね、終了のチャイムと同時に「後をよろしく!」と飛び出した。
おそらく、詩音は今日、俺のためにエステに行って磨き上げてるはず。
うーーっ、いじらしい。堪らん!
ハンドルを持つ手も軽やかに、鼻歌交じりで家路に着いた。
「しおーん!ただいまーーっ!
お袋ー!右京さーん!後お願いしまーす!」
ドタバタと部屋に駆け込むと、詩音が着替えを済ませたところだった。
「継!?お帰りなさい。早い…お出迎えしなくてごめんなさい。」
俺もスーツを着替えながら
「いや、いいんだ。
ちゃんと仕事は来週の分まで済ませてきたぞ。
篠山さんが『あまり仕事を進めると、他の社員が追いつくのが大変だから』って、月曜も休みにしてくれたんだ。
仁の相手もちゃんとするから…」
ちゅ と軽くキスをして鞄を持つと、詩音を促して部屋を出た。
「まぁーま!まぁーま!」
「仁、お利口にしててね。
お義母さん、右京さん、ご迷惑掛けますが、よろしくお願いします。」
「まぁま!まぁま!…うわぁーーん!!」
「あらあら、仁君はまーちゃんといい子でお留守番だぞ。
ほら、二人とも早く!行ってらっしゃい!」
後ろ髪を引かれるような顔の詩音の手を引き、よろしく、と家をあとにした。
「…仁…大丈夫かな…あんなに泣いて…」
「お袋がついてるんだ。心配いらないよ。
詩音、みんなのお陰でデートできるんだ。
楽しまないと、逆に申し訳ないよ。」
「…はい。」
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