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デート♡デート♡デート♡⑦
あの時よりももっと心が近くにいる俺達は、デザートまでしっかりと堪能してお礼を言い、清パパ達の冷やかしと激励を背に店を後にした。
「詩音、何か欲しい物があったら買い物に行こうか。
何がいい?」
「いいえ。もう、十分いただいていますから。
さっきの料理もですけど……継の愛情と温かな家庭…もう、十分です。
これ以上望んだらバチが当たる。」
最後の方は消えそうなささやき声で…
あぁ、詩音!
お前は何てそんなにかわいいんだ!
「詩音…お前って……」
瞬時に濃厚なフェロモンが車内を満たす。
止められないよ。
あんなかわいいこと言われたら。
俺の匂いで全てを察したのか、詩音からもそれに応えるような甘い匂いがしてきた。
「…もう、ホテルに直行するよ。」
「…はい。」
俺達のhoneymoonは始まったばかり。
慎重にそれでも制限速度ギリギリに飛ばしながら、目当てのホテルに着いた。
「麻生田様、お待ちしておりました。
支配人の横田でございます。本日は当館のご利用ありがとうございます。
こちらへどうぞ。」
支配人直々のお出迎えで、荷物もベルボーイではなく彼が持ち、チェックインも別のカウンターに案内された。
篠山さんの人脈、恐るべし。やっぱり謎の人だ。
「お世話になります。よろしくお願いします。
篠山さんには本当にお世話になってるんです。」
「そうでしたか。私もそうなんですよ。
では、こちらがカードキーになります。
早速ご案内致します。
どうぞ。」
「あの…支配人直々なんて…俺達、勝手に行きますから…」
「いいえ!とんでもない。ご案内は私が。
さあ、どうぞ。」
断るわけにもいかず、その後に詩音と続いた。
通された部屋は…凄い…詩音も固まっていた。
ひと通りの説明を受け、支配人は丁寧にお辞儀をして去って行った。
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