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熟年デート①
side:真澄
パパの声を聞いて、右京君や詩音君がいたのも構わずに玄関まで飛んで行った。
「パパぁー!お帰りなさーい!」
「かーちゃん、ただいま♡」
ちゅっ ちゅっ ちゅっ
ぎゅっ と逞しい腕に抱きしめられ、キスの洗礼を受ける。
「んー…真澄の匂いだぁ…いい匂い…」
「もう、パパったら…」
「レストランもホテルも決めてきたぞ。
来週の火曜と水曜、空けといてくれ。
場所は…当日までのお楽しみ…。
昼過ぎから出掛けて買い物して…欲しい物買ってやるから、何が欲しいか考えといて。」
「え?火曜日?そんなに早く?
欲しい物…もう十分だから、特にないんだけど。」
パパはにやりと笑うと
「いいじゃないか。ウインドウショッピングしてたら何か欲しくなるかも。
お強請りは何でも受け付けるぞ。
何しろ真澄と二人っきりのお泊りデートだからな。
気合が入るってもんだよ。
ふふん。楽しみだな。
…静かだけどチビ助達はまだお昼寝中なのか?」
そう言うと、俺の腰を抱いてリビングに向かった。
そして、そっと顔を出すと小さな声で
「お嫁ちゃん達、ただいま!」
「「お義父さん、お帰りなさい!」」
二人の可愛い嫁達の笑顔に迎えられご機嫌なパパ。
「来週の火曜日、午後から水曜日まで、かーちゃんを独占するからよろしくね。
うるさいじいじとばあばがいなくて静かでいいかもな、あははっ!」
「そんな…俺達、寂しいんだけど…優も“まーちゃ、まーちゃ!?”って探すかもね…でも、うちのことは気にせず、楽しんで来て下さいね!
ちゃんと留守番するから大丈夫ですよ。ね、詩音君!」
「はい、右京さんがいるから大丈夫ですよ!
お義父さん、お義母さんのエスコートお願いしますね。」
パパは頷くと、優しい微笑みを浮かべて俺を見て。
俺は、頬が熱を持つのを感じながら、パパを見つめ返した。
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