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熟年デート⑥
家に着くと、お嫁ちゃん達がお昼の用意をして待ってくれていた。
「ただいまー!
右京君、詩音君、お昼作ってくれてたの?
ありがとう、ごめんね!」
「「お帰りなさい!」」
「詩音君も手伝ってくれたんだ。
お義父さん呼んでくるから早く食べて!
お洒落して準備しなくちゃ、デートの時間がなくなっちゃうよ!」
間もなくやって来たパパと昼食を済ませると、右京君に追い立てられるようにして部屋に戻った。
「おーい、かーちゃぁーん、どのネクタイがいい?」
「んーっと…こっち!」
「サンキュー!」
ちゅっ
もう…キス魔なんだから…頬が染まるのが分かる。
チョッカイを出したがるパパを牽制しながら、それでも何とか着替えを済ませ、鏡でチェック。
うん、よし。
「では奥様、出掛けましょうか。」
「はい!」
「右京君、詩音君、あとお願いね。
…楽しんできます!」
「はい!どうぞごゆっくり!」
「お義母さん、優が寝てるうちに早く…起きたらへばり付くよ!」
ふふっ、それは大変。出掛けられなくなっちゃう。
「お嫁ちゃん達よろしくね。行ってきます!」
パパもご機嫌だ。
「「行ってらっしゃーいっ!!」」
エスコートされて助手席へ。
あぁ…もうドキドキして心臓が破裂しちゃう。
パパからは、甘い匂いとピンクのハートが……
ドギマギしているうちに、車は高級ショップ街の、ある一軒の店の前で停車した。
「…パパ…ここ…」
「うん。詩音君のお兄さんのお店だよ。」
ガチャ
「さ、どうぞ。俺のお姫様。」
この年でお姫様だなんて…
手を差し伸べられて助手席から降りると、詩音君を一段と男らしくしたイケメンが現れた。
「お義父さん、お義母さん、ご無沙汰しております。ようこそ!」
「正樹君!こちらこそ!右京のことでは本当にお心遣いをいただいて、ありがとうございました。」
「いいえ、とんでもない!
さ、どうぞこちらへ!」
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