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余韻①

頬を撫でる感触に、ゆっくりと意識が浮上していく。 目を開けると、見慣れた逞しい胸。 慎也さん… まだぼんやりとした頭を巡らせて、ようやくホテルに泊まっていることを思い出した。 昨夜は…激しく抱かれた。 何度も何度も絶頂を迎え、声も掠れる程に啼かされた。 二人とも、発情期の獣のように。 いくら長年連れ添った夫夫とはいえ、素面(シラフ)に戻って、顔を合わせるのが恥ずかしい。 「真澄、おはよう。身体は大丈夫か? 激しくしてすまない。 …どこも痛くないか?」 「…慎也さん、おはようございます。 ちょっとだけ…動けない…」 「ごめんな、加減ができなくて…」 ちゅっ ちゅっ いつものように髪の毛と鼻先に落ちてくるキス。 俺を抱きしめ、耳元でささやく。 「あらかた綺麗にしたんだが…一緒に風呂に入ろうか。」 「え?一緒に?」 「家じゃ、なかなかそうはいかないからな…よいしょっと。」 軽々と俺を抱き上げると、バスルームへ連れて行く。 『壮年』と呼ばれる年になっても、今もなおジム通いをして食事にも気を付けて、出会った頃と殆ど変わらない体型を維持している慎也さん。 カーテンから漏れる明るい光が、裸の二人の身体のラインを露わにする。 “恥ずかしい”より先に“カッコいい”という思いが溢れて、俺から流れてくる甘い匂いをクンクンと嗅いだ慎也さんが、うれしそうに微笑む。 「いい匂い…真澄、愛してるよ。」 朝っぱらからの甘いジャブに 「慎也さん、それ以上に愛してますよ。」 とストレートパンチでお返しした。 瞳を合わせて、クスクスと漏れる笑いに幸せを噛みしめる。 この(ひと)の番で良かった。

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