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余韻②
足元が冷たくないようにと、バスマットの上に降ろされ、バスローブを羽織らされた。
先にバスルームへ入った慎也さんは、コックを捻り、床を温めてくれていた。
過保護なんだから。
「真澄、おいで。」
バスローブをハンガーに掛けた。
まるで若い頃のように心臓はドキドキ跳ねて、フェイスタオルで前を隠しながら請われるまま夫の元へ向かう。
彼は俺を引き寄せ肩からざっとお湯を流し、ボディソープの泡を俺の身体中に纏わせると、素手で洗い始めた。
「…慎也さん…自分でするから…」
「ダメだよ。ほら、壁に手をついて、腰をこっちに…そう、いい子。
真澄…綺麗だ…」
左手で腕や背中を洗いながら、右手の中指を後孔に器用に差し入れ、中に残ったモノを掻き出される。
その感触は昨夜の交わりを思い出すのに十分な刺激だった。
「あ…っ、あんっ…」
思わず口から漏れた吐息に、慎也さんが反応した。
「真澄…堪んねぇ…」
シャワーの飛沫を浴びながら、一体何処から用意してきたのか、ローションをたっぷりと後孔に塗られ、『待って』と言う間もなく怒張した切っ先を捻じ込まれた。
「ああぁんっ」
昨夜の激しい情交ですっかり解れていた入口は、すんなりと楔を受け入れた。
仰け反る背中。
「…真澄っ…愛してるっ…くっ…堪んねぇ。」
抽挿される度に目の前をチカチカと星が飛び、情欲の甘くて濃い匂いに脳髄が痺れて飛びそうになる。
数えきれない程聞いてきた『愛してる』という言葉に、今更ながら心が震える。
「…もっと、もっと、俺を欲しがって…」
日頃なら絶対に言わないお強請りが、するりと口から溢れた。
俺の中で、慎也さんの熱量が ぶわりと更に増した。
背中越しに、慎也さんの吐く息が熱く突き刺さる。
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