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余韻⑥

それから、ルームサービスで運ばれてきた朝食を新婚当時みたいに食べさせ合い、チェックアウトぎりぎりの時間まで、膝の上に座らされ、身体のあちこちを触られて、イチャイチャを楽しんだ。 もう出なくちゃ、と慌てて着替えをしていると、慎也さんが後ろから俺を抱き込んで言った。 「真澄…時々こうやってお泊りデートしないか? 俺…多分、真澄不足だったんだ…」 甘える猛獣の頭を撫でながら 「ふふっ、俺も同じこと考えてました。 …幾つになっても愛してますよ、慎也さ、んっ!?」 破顔した番に覗き込まれてのキス。 舌先を捻じ込まれ、口内を蹂躙される。 「んーっ…んっ…んむっ」 息苦しくて腕を叩いたら、やっと離れてくれた。 はぁはぁと息を乱し、横目で睨む俺の頬に唇を寄せ、「ごめんね」とうれしそうに言う慎也さん。 “悪い”なんて、これっぽっちも思ってないくせに! ぷうっ と膨れて顔を晒す俺に 「愛してる…お前のためならこの命、いつでも差し出してやる。 この世が滅んでも…愛してるよ、真澄。」 「…大袈裟…言い過ぎ…」 悪態をつきながらも、慎也さんの頬にキスを残して逞しい胸から抜け出すと、自分達が使った後始末のために、広い部屋をくるくると駆け回った。 いくらお客という立場とはいえ、使いっ放しというのは何となく気が引けて、元通りにならないまでも、せめて片付けておきたい、貧乏性な俺なのだった。 だって、アンナコトやコンナコトした後をいくら仕事とはいえ他人に見られるんだよ!? それに、ゴミだってタオルだって、ある程度纏めてたら、掃除だって楽でしょ!? そんなこと言ったら、最初は『何言ってんの』的な目で見られたっけ。

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