690 / 829
青天の霹靂④
お義母さんは井上さんに連絡を取るために、あちこち連絡し始めた。
その間に右京さんが和樹君のオムツを替え、ミルクを飲ませていた。
右京さんが、そっと教えてくれる。
「この子…三カ月くらいだよね…
詩音君、継君が浮気するなんて、絶対に考えられないよ。
俺が言うのも変だけど…信じてあげて。
彼の“カラー”は嘘言ってないから。」
俺は黙って頷いた。
うん、分かってるよ、右京さん。
継の匂いも『信じて』って言ってるから。
俺、継を信じてる。
「井上君に連絡取れたよ!
昨夜ど偉い夫婦喧嘩して、奥さん、子供と家出しちゃって捜索願も出して探しまくってるって。
半年程前から修行で、こっちに住んでるんだって。
でも、どうして継なんだろう…
それより、奥さんどこに行ったんだろう…」
「まだそんなに遠くに行ってないかもしれないな。
でも、探すにしても俺達顔を知らないぞ?」
「俺なら分かると思う。パパ、手伝って!」
「よし。すぐ着替えてくるから待っててくれ。」
「潤、俺も分かると思う。優と和樹君をお願い!」
「一人で大丈夫か?」
「任せてよ!
継君、詩音君、チビ助達をお願いね!」
「お役に立てなくてごめんなさい…
俺、何もできない…」
「留守番も子守も立派な“お役”だよ!
じゃあ、行ってきます!」
右京さんはお義母さんと打ち合わせをすると、携帯と財布を掴んで走って出て行った。
「かーちゃん、お待たせ。さ、行くぞ。」
「何かあったら電話して!行ってきます!」
お義父さん達もバタバタと出て行った。
残された俺達は無言で…子供達の相手をしていた。
いつもは饒舌なお義兄さんは、ひと言も発しない。何か言いたそうだが、俺達の様子に声を掛けるのを躊躇っているようだった。
書籍の購入
ともだちにシェアしよう!