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青天の霹靂⑥

井上さんは、居住まいを正して、継を見つめ返して言った。 「はい!勿論です! …でも、どうして社長の子供だと… あっ、奥様っ、余計な心配をお掛けして本当に申し訳ございませんでしたっ!」 深々と頭を下げる井上さんを制して、とにかく落ち着いて座るように勧めた。 気不味い雰囲気の中、何も知らない子供達の笑い声が響く。 仁と優君は自分達より小さな赤ちゃんが気になるらしく、きゃっきゃっとはしゃぎながら、近付いては離れ、また近寄っていく…ということを繰り返していた。 どんな理由があっても、子供を置き去りにするなんて… 嘘をついて他人の家庭を引っ掻き回して、どうしたいんだ… やっと決心した引越しだって、キャンセルになっちゃって… 怒りと戸惑いだけが大きくなる中、お義母さん達が帰ってきた。 ただいまーっ! 「友梨奈っ!お前っ、何やって」 「はい、ストップ。 ほら、友梨奈さん、和樹君を抱っこしてあげて。」 お義母さんの言葉に、もうウサギのように真っ赤な目の奥さん…友梨奈さんが、駆け寄って和樹君を抱きしめると、床にへたり込んで泣き出した。 肩を震わせて号泣する姿に、込み上げていた様々な感情が冷えていった。 すると優君が、泣いている友梨奈さんの側に寄って行くと、肩をとんとんと叩きながら言った。 「いたいいたい、ないなーい! いたいいたい、ないなーい!」 それを見ていた仁も、友梨奈さんに近付くと 「なあー!なあーー!」 と言いながら、何度も万歳をし始めた。 お義母さんも友梨奈さんの側に行くと、そっとささやいた。 「うちのお孫ちゃん達も心配してるみたい。 あなたの心の『痛いの痛いの飛んでけー!』って言ってるよ。」 友梨奈さんは、また大泣きし始めた。

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