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青天の霹靂⑧
ようやく落ち着いたチビ助達と一緒に、みんなのところへ戻る頃には、友梨奈さんも泣き止んでいたようだった。
俺達を見つけた継が口を開いた。
「どういう事か説明してもらいましょうか。」
低いトーンの声。
怒っている。
ビリビリと怒りのオーラと匂いが、継の身体を包んでいる。
気押されるように、井上さんが話し始めた。
「…本当に申し訳ありませんでした。
退職してから一旦実家の旅館に帰ったのですが何分ほぼ素人で、接客研修のために上京していた私を母と折り合いが悪くなった友梨奈が追い掛けてきたんです。
反対を押し切ったデキ婚で友梨奈の実家とも疎遠になり、うちの親とも上手くいかず、一人で育児も家事もこなさなければならず、こちらに来てから段々と鬱のようになっていました。
それに気付いていながら、情けないことに私は何もしなかったんです。
そんな時、街で偶然社長ご夫夫を見かけて…
幸せそうに三人で買い物をする様子を見て、友梨奈が
『どうして自分だけこんな苦労をしなくちゃいけないんだ、あんな裕福で優しい人と結婚すれば良かった』
等と言い出して、あの日大喧嘩になったんです。」
みんな無言で聞いている。
その言葉を受けて、友梨奈さんが声を振り絞って続けた。
「先代もそうだったけど、とても仲の良いご夫夫だと知って…羨ましかった…
この子だって、そんな家に生まれたら、跡継ぎがどうとか、老舗の暖簾を守らなきゃ、とか、そんなことを言われずに済むと、そう思ってしまって…
気が付いたら、ここに来ていて、和樹を家の中へ連れて行ってくれるまで、隠れて見ていたんです…
本当に、本当に申し訳ありませんでした…
無関係の社長さんの子供だと嘘を言って、奥様を傷付けて、ご家族を巻き込んで大騒ぎさせて…
謝って済むことじゃないのですけど、恩を仇で返す真似をして、本当に申し訳ありませんでした…」
そう言って、またぽろぽろと涙を零した。
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