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台風一過、その後は②
右京さん…今は落ち着いてお義兄さんにもたれ掛かって目を閉じている。
目元は…まだ腫れている感じ。
まだ少しの怒りと、家族に対する止めどない愛情の匂いが溢れている。
あんなに激昂する右京さんを初めて見た。
あの思いは、友梨奈さんに届いたのだろうか。
いや、届いていると信じたい。
「…詩音?」
優しい声が落ちてきた。
その声に応えるように顔を上げ、鳶色の瞳を思いを込めて見つめる。
ふっ と微笑んだ継は、また俺を抱きしめ、俺達の足元で覚束ないあんよをする仁を抱き上げた。
「ぱぁー、まぁー!」
きゃっきゃっ と無邪気に笑う仁。
仁…人の痛みが分かる子に育ちますように。
この幸せがいつまでも続きますように。
継が抱っこしているうちに、仁はすやすやと寝息を立てて寝てしまった。
「寝ちまった…どうせすぐに起きてくるだろうから、ここに寝かせるか…」
先に寝ていた優君の横に仁を寝かせ、布団を掛けてくれた。
そしてまた、俺の横に座り直すと、今度は横抱きにして抱え込んできた。
「継…みんないますっ!」
小声で抗議すると
「見てごらん…一緒だよ。」
あ…ホントだ…
お義父さんはお義母さんの腰に腕を回し、お互いの耳元で何かささやき合っている。
右京さんは…同じく抗うことなく、横抱きにされ甘えるように胸元に擦り付き、お義兄さんはその頭を優しく撫でていた。
さっきからいろんな甘い匂いがすると思ったら…
それぞれの番達から愛情たっぷりの匂いが立ち上っている。
勿論、俺達二人も。
「心配させてごめんな。
でも俺は、何が起こっても何があっても詩音だけだから。」
俺は頷いてひと言だけ返した。
「信じてますから。」
満足気に頷いた継は、唇にそっとキスをくれた。
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