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台風一過、その後は③
そうやって継にぴったりとくっ付き自分達の世界にどっぷりと浸って、後から後から沸き起こる様々な感情を自分で納得できるように昇華していった。
継は、そんな俺の気持ちが分かっているのか、黙って俺の背中や頭を撫で続けていた。
しばらくすると、さっきまでのモヤモヤした嫌な感情がすっきりと治って、いつの間にか穏やかな落ち着いた気持ちになっていた。
ふえっ ふえっ
うわぁーーーーーんっ
仁と優君が同時に目覚めたようだ。
俺と右京さんは顔を見合わせて微笑みながら頷くと、それぞれの分身の側に行き抱き上げた。
「詩音君、一緒にオムツ替えようか。」
「はいっ!」
愚図る子供達を抱き、“避難部屋”へと向かった。
お尻がスッキリしてご機嫌になったチビ助達は、きゃっきゃっとはしゃぎながら遊び始めた。
「…詩音君、びっくりしただろ?
もう大丈夫?落ち着いた?
俺、感情的になって大声出して…ごめんね。」
「右京さん、謝らないで!
俺も言いたかったことだから。言ってくれてありがとうございました。
はい。もう大丈夫です。
…本当にびっくりしました。
継が浮気しててあの子が本当に継の子供だったらどうしようか って、そんな考えが瞬間よぎりました。
でも、継は『信じて』って言ったし、嘘の匂いが全くしなかったから。
俺、鼻の効くスーパーΩで良かったって思いました。」
くすっ と笑いながらそう言うと、右京さんは時折甘えてくる優君のお相手をしながら
「俺は…何かあっても助けてくれる“手”が沢山あるから…あの人は頼るところが何もなくって…愛するご主人にすらそれがなかった…
幸いにも義実家 が理解してくれて、あのご主人も反省していたみたいだしね。
この先はきっと馬鹿な真似はしないと思う。
…同情はするけれど、やっぱり許せないよ。」
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