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台風一過、その後は⑩
俺から目を逸らさず、スキンを口に咥え端を引き千切ると、手慣れた風に片手で継自身に被せた。
うっとりとその様子を見つめていた俺は、理性が何処かへ行ってしまいそうな感覚を覚え、身構えていたが、継は俺の頬を撫でながら諭すように言った。
「詩音、お前だけに感じて乱れる俺を見ておけ。
こんなになるのは後にも先にもお前だけだ。
愛してるよ、詩音。」
言葉と共に降り注がれる継のフェロモン。
嘘偽りのない愛に絡め取られて、つ…と一筋、涙が零れ落ちた。
「…愛しています、継。
俺を…俺だけを愛して…」
途端に組み敷かれて、無茶苦茶に口内を蹂躙される。
その苦しさすら愛おしくて堪らない。
身体を撫で摩る大きな手の平は熱を持ち、触れられたところは火傷しそうになっていた。
丁寧に身体中を舐められキスされる。
継は、いつもより俺を焦らして攻め立ててくる。
そのせいでもっと感じてしまい、身体をくねらせ両手で口元を押さえるが、甘い声は漏れてしまう。
お返しに と、俺は継の手を取り指先を舐めたり、肩や鎖骨に甘噛みをしては俺が愛した跡を残したりした。
まるで獣同士のような戯れ合いは、継が俺の中にゆっくりと入ってきて、益々本格的なものになっていった。
すっかり愛液で潤った俺の中はすんなりと継を受け入れ、突き上げられては達し何度も絶頂を迎えた。
心と身体が一致している今、何をされても何を言われても高揚し反応する。
揺さぶられ翻弄され、ただ快楽の世界へ引き摺り込まれていった。
そして
継が満足する射精を終える頃には、俺の意識はなく、翌朝仁の泣き声で起こされるまで、満たされた俺は継の腕の中でぐっすりと眠っていたのだった。
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