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旅立ちを見送る⑤
スーパーΩの俺達は、他人 の感情をキャッチできる。
お義母さんと右京さんは超視覚…色で。俺は超嗅覚…匂いで。
だから、だから…
「俺がもっと早く気付いていたら、ひょっとしたら助かったかも…こんな能力 があっても、肝心な時に役に立たないなんて…」
ぐしぐしと鼻を啜って泣くお義母さんに、お義父さんが
「香川先生も言ってただろ?
例え気付いたとしても、どうすることもできなかった。
誰のせいでもないし、偶然に起こったことで、その子の運命なんだ。
ちゃんと育つことのできない寿命の子だったんだ。
その子が天国で幸せになるように、みんなで見送ってあげて、って。」
「でも、でも、何とかできたかも」
「真澄…辛いのは分かる。
何度も言うけれど、一番辛いのは右京君だよ。
お前が泣いてたら、右京君だってずっと自分を責めてしまう。
右京君が笑って普通の生活ができるように、俺達がフォローしてあげないと。
旅立った子が、きっと優君を守ってくれるよ。」
「パパぁ…でも」
「『でも』は、なしだよ、真澄。
継も詩音君も…分かってくれるかい?」
継と俺は、顔を見合わせて…頷いた。
俺もお義母さんと同じように、自分の能力を役立てることができなくて、自分を責めていた。
悲しくて納得できなくても、お義父さんが言う通りに、右京さんをフォローするのが俺達家族の役目なんだ、って思った。
「お義母さん、右京さんは?
ずっと泣いてるんじゃないの?」
お義母さんは、眉をきゅっとひそめると
「…そうなんだ。
『気付かなくってごめん、ごめんなさい』って、お腹を摩りながら…ずっと泣いてた。
潤と二人だけの方がいいと思って、そうしてきたんだけど。
あんな状態で、手術を受けさせるのも忍びなくて…」
そう言って、お義母さんはまた泣き出した。
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