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旅立ちを見送る⑥
お義父さんも困ったように呟いた。
「“そのまま”という訳にもいかないからな…
明日…右京君が納得できるように、香川先生から話をしてもらうしかないか…」
右京さんの気持ちを思うと何とも遣る瀬無い気分になり、お義母さんと俺は、ただしくしくと泣くことしかできなかった。
とにかく休もうと、お義父さんが優君と泣きじゃくるお義母さんを連れて行き、継が後片付けをしてくれて、俺達も部屋に戻った。
継が仁をベッドに下ろすと、ふにゃふにゃと泣きそうになったが、やがてまた静かになり眠ってしまった。
暫くその寝顔を眺めていた継が、ベッドに腰掛けていた俺の隣に座った。
そうして俺の肩を抱き寄せると
「人の寿命って、きっと決まってるんだよ。
まめちゃんは、ほんの数カ月の命だったんだ。
俺だって…今はこうやって元気でいるけれど、明日はどうなるか分からない。
その時その時で状態は違うけれど、一日一日を悔いのないように過ごしたいよね…
できることなら俺の最後は、子供や孫達に囲まれて、詩音の胸に抱かれて、ちゃんと別れの挨拶をして「じいちゃんの人生は幸せだったね」って言われたいな。」
ふふっ と笑った継は
「命は巡る。
俺達は、まめちゃんが安らかに新しい巡りを待てるように見送ってあげよう。
右京さんが元気を取り戻せるように…変に気を遣わずに今までと変わらず普通でいよう。」
俺は継の言葉を聞きながら、また涙が溢れてきて、仁を起こすまいと声を我慢し、嗚咽を漏らしていた。
「ほら。明日の朝、目が腫れて開かなくなるぞ。」
継は、そっとティッシュで涙を押さえると、俺を横たえた。
「今夜は抱き合って眠ろうな。」
着ている物を脱がされて、ぴったりと素肌がくっ付く。
温かな体温と心臓の音が、“生きている継”を感じさせてくれ、右京さんとまめちゃんのことを思いながら、目を閉じた。
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