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ポジティブ⑧
その後は…顔を赤らめたまま、ひたすら無言で唐揚げを口に放り込む右京さんと、それをもう見たこともないようなデレっぷりで見つめるお義兄さんと。
二人を生温かい目で見つめる俺達と。
お腹一杯になり満足して、きゃあきゃあ遊ぶチビ助達と。
二人に当てられて、甘ったるい空間で時間 を過ごしたのだった。
翌日…
右京さんは『慣らし保育』スタートの優君を連れて出勤した。
最初の頃は一時間くらいから始めて、段々と通常の預かりになるんだそう。
お迎えは、暫くお義母さんが行ってくれる。
右京さんはフルタイムで夕方帰ってくる。
優君は何故かご機嫌で、バイバイして行った。
お義兄さんは右京さんに何を言われても頬が緩み、どうにもならない。
仕事、大丈夫なんだろうか。そのまま出勤してしまった。
「ねぇ、お義母さん…」
「ん?どうしたの?詩音君。」
「…昨夜 の右京さん、カッコよかった…本当にお義兄さんを愛してるんだね。
お義兄さん、崩れたままで、まだ顔直ってなかった。」
「ふふっ。
あんなに愛されてるって分かって、ありゃあ暫く戻んないな。
そうは言っても、詩音君だって右京君と一緒でしょ?」
顔を赤らめながら答える。
「……はい。」
「継だって、分かってるよ。
でも、直接言ってもらいたそうにソワソワしてたけどね。
…パパも。」
「お義父さんも!?」
「うん。だから、思いっ切り言ってあげた。
ふふふっ。」
「俺、継が言ってほしそうにしてたんだけど、恥ずかしくて無視しちゃった…今日、継が帰ってきたら、ちゃんと言おう…」
「そうだね。伝えてあげた方がいいね。
継より俺は…右京君が心配。」
「え?」
お義母さんは仁を抱っこしながら、顔を曇らせた。
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