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ポジティブ⑨
「あんまり飛ばし過ぎ。カラ元気に見える。
心がちゃんと癒えてないのに、無理に動こうとしてる。
今日からいきなりフルタイムだろ?
右京君も『慣らし』が必要だったのに。
右京君の腕は、結婚前から評判でさ、仕事を辞める時もみんなに惜しまれて退職したんだ。
花束もアレンジも見事でさ、お得意さんが結構ついてたんだよ。
復帰しちゃったら一か月じゃ済まなくなると思うんだけど。
その間にちゃんと心が付いてきてくれればいいんだけどね。
まぁ、気分転換になれば一番いい。
お家と優君のことは任せてくれればいいからね。
アドバイスしようと思ったんだけど、もう事後承諾だったから、俺も何も言わなかったんだ。
ただ、『しんどくなる前に言いなさい』とは言ったけど。
潤はあんなボケボケだろ?
帰ってきたら喝入れてやろうと思ってる。」
「俺、そこまで考えてなかった…前に一歩踏み出せて良かった、って思ってて…
右京さんに負担が掛からないよう、俺もできることやります!」
「詩音君は今のままでいいんだよ。
よくやってくれてる。
物凄く助かってる。ありがとう。
俺もとっても頼りにしてるから!
右京君が辛そうだったら、その時は手助けしてあげて。」
「はい!
…お義母さん、ありがとうございます…」
お義母さんに褒められて、うるっとした。
「まぁま、まぁま!」
「仁君、ママのとこに行くかい?
じゃあ、まーちゃんはじいじのコーヒーを入れてくるね!
はい、バトンタッチ!」
お義母さんは仁を俺の腕に収めると、俺の頭をポンポンと撫でて
「優しい詩音君が大好きだよ。」
と言い残して行ってしまった。
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