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疲労困憊③
お義母さんは微笑んで、うんうんと相槌を打ちながら俺の話を聞いてくれている。
「甘やかし過ぎて、俺の躾が悪かったのかなって。
こんな酷いワガママ初めてで。
…何だか子育てに自信がなくなっちゃった…」
「反抗期かな、早いなぁ。疳 の虫かも。
反抗期がないと、マトモな大人にならないから。
順調に一歩ずつ大人になっていってるんだよ。
詩音君、今から、第2、第3…って反抗期がやってくるよ!
これで根をあげちゃダメだからね!」
「嘘…今から!?第2第3!?…お義母さん…俺、子育て無理かも…」
「大丈夫!心配いらないよ!
だって、子供はロボットじゃないんだから。
泣いて、笑って、怒って、暴れて…いろんな感情を覚えていって、他の誰かを大切に、そして愛する心を育てていくんだよ。
確かに…育てる側はとーっても大変だけどね!」
「でもお義母さん…こんなのが毎日続くなんて…」
「一生続く訳じゃないだろ?
この間も言ったけど、まぁ、暫くの我慢…潤も継も酷かったからね。
それを受け継いでたら、恐らくこのチビ助達も…」
「うわぁ…」
すよすよと眠るチビ助達を見て、お義母さんと顔を見合わせて吹き出した。
「…ねぇ、お義母さん。」
「ん?どうしたの?」
「継ってそんなに凄かったの?」
「凄いなんてもんじゃなかったよ!
“疳 の虫が強い”って言うのかな…物は投げる、泣き叫ぶ…それはもう凄まじかったなぁ。
でもさ、そのうち、ちゃんと落ち着いて治ったからね。
それに今では…親バカだと思うかもしれないけど、一応マトモな大人になって、こんなかわいいお嫁ちゃんとチビ助君を大事にしてるから、良しとするか。」
くっくっくっ とお義母さんは声を噛み殺して笑っていた。
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