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疲労困憊⑨

翌朝。 (たが)が外れて貪るように求め合ったツケがきた。 動けない。 動かせない。 これはマズい。 あたふたと焦るばかりで、身体が動かない。 やっとのことで、ゆっくりと時間を掛けて起き上がろうと、腕に力を入れた瞬間にピキピキと腰に痛みが走る。 「痛っ!!!」 「詩音っ!?大丈夫かっ!?」 「…継…」 エッチのし過ぎで動けないなんて恥ずかし過ぎて言えない。 「…あぁ…俺がまた無茶なことしたから… すまない、詩音…」 涙目でふるふると首を横に降る。 「…調子に乗った俺が悪いんです…継のせいじゃない…」 「今日は一日横になってて。 …仁は『一日保育制度』を使って預かってもらおう。」 「『一日保育制度』!?」 「うん。 病院が併設されてる保育園で、その日一日限定で朝から夕方まで預かってくれるんだ。 ちょっと待って…確か市役所からのお知らせに…あった!」 すぐさま継が電話を掛け始めた。 「朝早くから申し訳ございません。 市役所のお知らせを…………」 継の言葉は簡潔明瞭だ。 いくつかのやり取りの後、電話を切った継は 「オッケーだよ、詩音。 今日は何もしないでゆっくりと休んでて。 お袋にも伝えておくから。 仁の送り迎えは俺がやるから気にしないで。」 そう言い残し、一旦部屋を出て行った。 右京さんだって仕事で、お義母さんは優君にかかりっきりになるし…こんな具合じゃ仁の世話なんてできそうもなくて。 昨日のあんな調子で、チビ助二人の世話をお義母さんに丸投げなんてできない! 本能に、快楽に負けた自分を恨んだ。 でも…そんな制度があるなんて。 継はいつの間に調べていたのだろうか。 色々と思いを巡らしているうちに、継が戻ってきた。

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