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家事と育児と仕事⑦
行為を中断されて、不貞腐れ感満載の匂いを撒き散らかしている継に抱きすくめられた。
俺からは…甘い匂いが消えている。
継は、それを確かめるように首筋に鼻を擦り付け、すんすんと匂いを嗅がれ、擽ったさと恥ずかしさに身を捩ると、途端に悲しそうな声が降ってきた。
「…嫌なのか?」
「…嫌というか…でも、もうそんな気分じゃないので…ごめんなさい…」
小さな声で謝ると、はあっ…と特大級のため息が。
それでも諦めきれないのか、継は暫く俺を煽るように身体を弄っていた。
俺からは不快を示す匂いが出ているのだろう。
次第にその手は動くのを止めた。
無言の継は、名残惜しそうに俺の耳の後ろの匂いを嗅ぐが、全くフェロモンが出ていないことに気付いたのか、また大きなため息をついて、俺から離れていった。
「お休み…」
「…お休みなさい。」
ほんの数センチ…少しの距離を置いたまま、お互いの複雑な匂いが絡み合っている。
継の気持ちも分かるけど、仁の気配があるこの部屋での睦事 に、没頭できる訳がない。
求められるのはうれしい。漂うフェロモンに擽られるのは心地良くて、ヨメ冥利に尽きる。
継の気持ちも分かる。
俺だって男だし、そうしたい時もある。実際、さっきまではシたかった。
打ち震えるココロとカラダは熱を持ち、継を誘っていた。
でも、家事でくたくたになることもあれば、今みたいに仁に邪魔されることもある。
右京さんみたいに、仕事をして疲れて帰ってきて、その上…なんて無理だ。
家事と育児と仕事と。
世の中の嫁は大変なのだ。
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