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溢れ出る思いside:継②

思いの丈を込めて詩音に告げる。 「愛してる。愛してるから、心だけじゃなくて身体も欲しい。結ばれたい。 一つになりたいんだ。 愛してる、という形が身体を求めるんだ。 “”が目的なんじゃない。 もし、詩音にとって それが苦痛ならば…俺は手を出さない。 毎日、俺の胸に抱きしめて眠ろう。 詩音が心から満たされるように、安心して俺の隣で眠れるように。 だから、今夜は一緒にいてくれないか? 側にいてくれるだけでいい。 二人っきりで、詩音を感じて眠りたい。」 俺を見つめていた詩音が、ゆっくりと首を縦に振った。 良かった…受け入れてくれた… 「詩音、俺の愛を受け止めてくれ。 お前の存在そのものが愛おしいんだ。 それは分かってくれ、頼む。」 大きな瞳を潤ませたまま、こくこくと頷く詩音をもう一度ギュッと抱きしめた。 愛おしい俺の唯一の番。 出会えたこと自体が奇跡的なこと。 番の契約を結んだあの時に見えた鎖は、二度と解けたりはしない。 例え逃げても、何処までも追いかけていくよ。 キスしたいけれど、我慢しよう。 詩音が俺に心を開いてくれるまで。 頑張れ、俺のジュニア。 暴走するんじゃないぞ。 さっきまで車を叩いていた雨音が聞こえなくなった。 ゲリラ豪雨だったのだろうか。 ちらりと時計を見ると、チェックインの時間が迫っていた。 「詩音、ホテルに行ってもいいか?」 俺の腕の中で頷く気配がした。 「ありがとう。」 そっとおデコにキスをして、ギアをドライブに入れると、その手を詩音の手に重ねた。 少し震えているのは、まだ怯えているのか? いや、詩音からは怯えの匂いはしない。 戸惑い…そして、俺のことを思う甘い匂い。 それに勇気を得て、俺は予約しているホテルへと車を走らせた。

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