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溢れ出る思いside:継⑦
もう一押しだ!
どうしたいのか、俺に何をしてほしいのか、詩音の口から言わせないと。
「詩音、どうしたいんだ?どうしてほしいの?」
「…継に……し………い。」
「聞こえない。」
「継に…抱いて…ほしい…俺を愛してっ!」
薄暗い中でも分かる、詩音の真っ赤な顔。
「よく言えました!」
ご褒美だと言わんばかりに搔き抱き、口付けを交わす。
じゅっ、じゅるっ、ぐじゅ
唾液まみれになりながら貪り合うような、甘い、甘いキス。
詩音は俺の首に腕を巻き付けたまま離れない。
はぁはぁと息を乱しながら、俺の舌に自分のそれを必死で絡み付けてくる詩音が愛おしくて愛おしくて、泣きそうになった。
「詩音、愛してるよ。」
途端にぶわりと舞う、詩音のフェロモン。
匂いだけで十分過ぎる程詩音の気持ちは分かるが、どうしても言葉で聞きたい。
「詩音、お前はどうなんだ?」
絶対的αの威厳を持って詩音に迫る。
普通のαですら、平伏す絶対的αの圧。
番のΩなら、ひとたまりもないはず。
詩音は俺の首にしがみ付いたまま、ふるふると震えながら途切れ途切れの声で伝えてくる。
「…継…継を…愛しています。
俺、思ってても、言葉で…伝えれなくて…
でも、でも、俺の一番は、継だか、ぐっ」
最後まで言わせることができなかった。
後頭部を引き寄せ顎を掴み、唇にむしゃぶりついた。
詩音の甘くて優しい情欲のフェロモンが、俺の理性を破壊したのだ。
腕の中で脱力していく詩音の重みをうれしく感じて、舌先を生き物のように動かしていく。
くったりと力をなくした詩音は、少し上手になった舌先だけを動かしている。
俺が暴いて好みに仕立てあげた身体は、妖しく俺を誘う。
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