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溢れ出る思いside:継⑨

俺の下で身体をくねらせて甘い声をあげる詩音を組み敷き、全身を舐め尽くしていく。 ひたすらに、ただひたすらに想いを込めて詩音を掻き抱く。 「…んっ、継っ…あっ、ダメっ…んっ」 途切れ途切れの吐息と少しの拒絶の言葉は、俺を求める甘いフェロモンにかき消される。 ケイ モットチョウダイ オレヲ…アイシテ アイシテイマス 止め処なく流れてくる詩音の声なき声に煽られ、詩音の身体中に赤い花を散らしていく。 どれだけ甘い言葉を伝えても、どれだけ抱きしめ合っても、全然足りない。 「詩音…俺の愛おしい番…愛してる、本当に愛してるんだ…」 感極まって震える詩音を愛撫する手も唇も止まらない。 「あ…継っ…俺も、俺もっ…あんっ」 色っぽい声をあげて、詩音の身体がシーツの海に揺らめいている。 花のような匂いを発しヒクつく後孔に誘われるように、猛った楔を二、三度擦り付けて一気に差し込んだ。 「あああっ!」 舞い踊るフェロモン。 びくびくと痙攣する詩音の身体に覆い被さり、暫くそのままで抱きしめる。 脈打ち爆ぜそうな俺自身を宥めるように、詩音の中はしっとりと俺を包み込んでいる。 気持ちイイ… 零れ落ちた涙を舌先で掬い、何度も何度も愛の言葉を紡ぐ。 「詩音、俺の大切な番。心から愛してる。 俺の全てをお前にやるから。 俺を愛してくれ。」 まだ涙に潤んだ瞳で俺を見つめる詩音は、整わぬ息のまま、艶然と微笑んで言った。 「…継…俺の、大切な番…愛しています。 俺の全ては、もう、あなたのもの…俺を離さないで。」 あまりの愛おしさに、思いの丈を込めて抱きしめた。 詩音、詩音、詩音っ!!! 噴き出すフェロモンはもう、止めようもなかった。

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