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愛し合う夜side:詩音⑤

してやったり、と得意気になったのもつかの間…すぐに勢いを取り戻した継に、宣言通り優しくたっぷりと愛された。 何だか…お腹の奥が普段と違う気がする。 そう、仁を身籠った時に感じたあの不思議な感覚。 まさか…でも、何となく『妊娠したかも』と漠然とした思いが拭いきれない。 そういえば、今日は…避妊してないっ!? 薄いゴムを隔てた感覚がなかった気がする。 継の熱や弾力が直に入ってきたような… 「…継、あの…」 「ん、どうした、詩音?」 「…あの…えっと…」 どう説明していいのか分からない。 「えっと、あの……ちゃんと避妊してくれたんですかっ!?」 「もちろ……あーーーっ!やばいっ! 忘れてたかも… 詩音っ、ごめん!スキンしてない…」 「やっぱり…」 「『やっぱり』って?どういうこと?」 「…お腹の奥が…何となくいつもと違う気がす るんです…だから、ひょっとしたら…」 「えっ!?ホントか? もしそうだったら、俺は物凄くうれしいっ! …詩音は?不安か?」 即座にふるふると首を振って、継を見つめた。 「もしそうなら…俺もうれしいです。 でも。」 「『でも』?」 「右京さんが、あんな悲しいことになったばかりだし、仁もまだ小さいし…俺、大丈夫かな、って。」 継は、ふっと微笑むと俺をそっと抱きしめてきた。 「大丈夫だ。心配いらない。 右京さんのことは、確かに悲しい出来事だったけれど、ちゃんとまめちゃんが知らせに来てくれたんだろ? 仁だって、まだ小さいけれど俺達の子だ、理解してくれるはず。 詩音…俺、またヤキモチ焼くかもしれないが…大切にするよ。」

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