770 / 829

愛し合う夜side:詩音⑥

頬に手を添え、継が伝えてくれる。 それに応えて、俺も同じように継の頬に手を添えた。 「ふふっ。もしできてたら…の話ですから。 これ以上ヤキモチ焼かれたら、俺はどうしたらいいの?」 継は、ふんっ、と胸を張ると 「優先順位は俺が一番。 それを守ってくれたら…、俺はいい子でいると思うぞ?」 それを聞いて吹き出した。 「って…どれだけ俺様!? 俺にとって家族に順位はないけれど、心も身体も委ねて愛し合うのは、継…あなただけですから…」 「詩音…」 振り撒かれる絶対的αのフェロモン。 逆らえない。 拒絶なんてできない。 何度も何度も言ってるじゃないですか、あなただけだって。 心から、愛しています。 近付く唇を重ね合い、吐息を漏らす。 抱きとめられる腕も胸も熱く、絡み付く足はするすると、それでいてねっとりと俺の肌を滑る。 「詩音、詩音…」 名前を呼ばれキスされる度に、理性の(たが)が簡単に外れていく。 さっきまでたっぷりと愛され閉じきらない後孔からは、俺の愛液と、まだ残っていた継の白濁液が混ざりあったものが、とろりと溢れ出していた。 優しいキスの雨に翻弄され、ただのΩになっていく。 Ωという性が本当に嫌だった。憎かった。 認めたくなかった。 でも。 『Ωでいてくれてありがとう』と継が言ってくれたから。認めて受け入れてくれたから。 Ωの俺を心から存分に愛してくれるから。 愛する人の子供もこの世に送り出すことができたから。 俺は自分がΩであることに誇りを持って生きていける。 だから。 俺の全てをかけてあなたを愛していきます。 ぶわりと満開の花のような甘いフェロモンが継を包み込む。

書籍の購入

ともだちにシェアしよう!