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愛し合う夜side:詩音⑩
ぐちゅぬちゅぐぷっ
継の首に手を回したまま、片足を上げられて手淫されている。段々と足の力が抜けてきそうだ。
後孔から滑ったいやらしい音がバスルームに反響する。
俺たち二人の放った体液は、時間と共に少し乾き始めていて。
そのままだと挿入時に俺が痛い思いをするかもと、それを分かっている継は、ローションを使っているのだろう。
継のものは先端から蜜を溢れさせ、照明を浴びて光っている。俺の中もまた潤いを取り戻し、じゅわりと奥から淫液が湧き出していた。
「あっ…まっ、て、けいっ…んっ」
「待てない。こんなかわいい姿を見せられて止めれる訳ないだろ…入れるよ…」
下から一気に突き上げられた。
「ああっ」
もう少量の体液しか出ないが、継の腹部を汚してしまった。
仰け反った背中を抱きとめられ、継の抽挿が優しく開始される。
そのうち、くるりと身体を反転させられ壁に手を突くと、後背位で奥まで穿たれる。
声は最早掠れて、足も手も力が入らない。
そんな俺を抱きとめる継は、もどかしいくらいに丁寧に大切に動いている。
愛されている
愛している
交差するフェロモンに巻かれて幾度となく絶頂を迎えた。
幸せな気分に酔い何度果てたのか分からないまま、ぼんやりした思考が元に戻る頃、継に抱かれて湯船に浸かっていたのに気付いた。
「…継…」
「無茶させたな…すまない…」
俺は振り向いて、心配そうな継の唇にそっとキスをした。
「それだけ愛されてるって証拠ですから…俺、Ωで…あなたの番で良かった…」
「詩音…」
優しい、優しいキスが落ちてきた。
俺がΩでなければ出会わなかった。
こうして愛し合うこともなかった。
“どうか世界中のΩが愛する人と出会って結ばれますように”と心から祈りながら、目を瞑りそれを受け止めた。
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