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俺か仕事か、どっちだ!?④
ガチャッ
「あれ?右京さんかな…」
「ただいまー。」
ひょこっ、と顔を出したのはお義兄さんだった。
「…右京、まだなんだ…」
「潤、早いじゃないか。焼き芋、どうだ?」
「うん。今日は直帰だったんだ…いや、いいよ。」
ぱたん
不穏のオーラを身に纏い、不機嫌な匂い丸出しでお義兄さんは部屋に行ってしまった。
「お義母さん…」
「んー…ちょっとあれは…」
「どうしたんだ?」
実は…とお義母さんが説明を始めた。
黙って聞いていたお義父さんは
「今晩、優君を預かるとするか。
かーちゃん、右京君が帰ってきたら段取りしてやって。」
「はい。」
少しホッとした。
このままだと夫夫関係に亀裂が生じかねない。
というか、もうそうなってる。
お義父さんとお義母さんが何かひそひそ話しをしているのを横目に黙々と食べていると
「ただいま…」
「まーちゃん!じいじ!しーお!たーいま!」
右京さんだ!
今日も忙しかったんだろう、疲労の色が見てとれる。
優君が甘えるようにお義母さんのところへ走って行き抱きついた。
「優君、お帰り!今夜はまーちゃんとじいじと一緒にねんねだよ。
右京君。潤帰って来てるよ。
…優君は今夜預かるから、ちゃんと仕事のこと話し合ったほうがいい。
もうすぐ1か月だろ?どうするのか、どうしたいのか、二人で納得いくように…ね?」
右京さんは一瞬フリーズしたが
「…はい。後でお願いします。
ちょっと潤のところに行ってきます。」
そう言って、優君の頭を撫でてリビングから出て行った。
長い昼寝から目覚めた仁と、それを見つけた優君が、こねこねと仲良く遊び始めたのを見て、俺は夕食の準備に取り掛かった。
ところが…
何やら言い争う声が微かに聞こえてきた。
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