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俺か仕事か、どっちだ!?⑦
それから…
慌ただしく夕飯とお風呂を済ませ、チビ助達を早々に寝かしつけた。
仁は昼寝の時間が長かったけれど優君と一緒に、ことんと眠りについてくれた。
お義父さんと継の電話で呼び戻されたものの、まだ不貞腐れた感のあるお義兄さんと、お義母さんに連れられて目も鼻も真っ赤にした右京さんとが、リビングにやってきた。
俺は取り敢えず、そっとみんなにお茶を出した。
お義母さんが目で「ありがとう」と言ってくれてうれしかった。
部屋の空気はピリピリして、いつもの甘やかで穏やかな匂いは何処かに行ってしまい、俺はただ悲しかった。
お義兄さんが口火を切って話し始めた。
「みんなを巻き込んで申し訳なかった。
それに、俺が…もっと器の大きな人間だったら、こんなに右京を悩ませて泣かすこともなかったのかもしれない。
右京、悪かったな。許してくれ。
お袋、詩音君。
優の面倒や家のことも全部丸投げして申し訳なかった。
親父も継も。心配掛けて悪かった。」
思いがけないお義兄さんの謝罪に、右京さんは激しく首を横に振った。
「違うっ!潤が悪いんじゃないっ!
俺、まめちゃんがいなくなって、しっかりしなきゃ、元気にならなきゃって思ってたところに、仕事の声が掛かって。
大好きだった仕事だったし、気が紛れるのもあって、俺ばっかり頑張ってる、辛い思いをしてる、なんて思い上がってた。
俺が、俺が変な意地を張って、突っ走ったから…結局はみんなに迷惑掛けてしまって。
とうとう潤に『俺か仕事か、どっちが大切なんだ!?』って、言わせてはいけない言葉を吐かせてしまったんだ…
みなさん、ごめんなさい。
潤、ごめんなさい…」
右京さんはぽろぽろ涙を零しながら頭を下げた。
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