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俺か仕事か、どっちだ!?⑨

やっと穏やかな匂いに包まれていく。 良かった…お義兄さんも納得した…のかな。 右京さんも『無理はしない』って約束してくれたし。 今までみたいにフルタイムで倒れそうになりながら帰宅することもなくなるだろう。 お義父さんが、お義兄さんに何かささやいた後、肩を数度叩いて 「じゃあ、俺は先に休ませてもらうよ。 みんな、お休みー!」 と手をひらひらさせて行ってしまった。 お義母さんも笑いながらその後に続いた。 「あ!優…詩音君達の寝室だよね? 連れて行ってもいいかな?」 「仁とぐっすり寝ちゃってるから起こすの可哀想だし、もし良ければそのまま朝まで俺達がみてます。 …と言っても俺も眠って起きないかも!」 「え…迷惑じゃない?」 「大丈夫ですよ。ね、継?」 「ご心配なく。まだ二人で話すことあるでしょ。 な、兄貴?」 「継…ありがとう。 お言葉に甘えてそうさせてもらうよ。 右京、行くか。」 「継君、詩音君、本当にありがとう。 じゃあ、お願いします。お休みなさい。」 「「お休みなさい!」」 そうして俺達二人が残された。 「はあっ…詩音、俺達も寝るとするか。」 「はい。」 継に手を引かれ、そっとドアを開けて見ると、チビ助達が小さな寝息を立てお利口で眠っていた。 その寝顔を暫く見つめていると、痺れを切らした継にベッドに連れ込まれた。 「継っ!」 子供達を起こしてはいけないと、声にならぬ声で咎めると 「詩音を充電させて。」 と甘い匂いで抱きすくめられて、身動きできなくなった。 「取り敢えず、解決したっぽいから良かった。 俺が電話した時はまだ頭に血が上ってる状態だったから『マズイな』って思ってたんだ。」 「右京さんも…お義母さんとずっと話してたみたいで、部屋から全然出てこなくて… お義父さんが仁達を見て下さってたから、助かりました。」

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