786 / 829
芽生え②
その後帰宅した右京さんにも伝えた。
右京さんは俺に抱き付いて、本当に喜んでくれた。
「ホントだ…全然気付かなかったよ。
でも、今は分かる。キラキラしてるよ、ね、お義母さん!
病院は?明日行くの?
丁度いいや。明日は俺お休みなんだ!
じゃあ、優も保育園お休みさせて、俺が仁君みてるから、お義母さんと行っておいでよ。
お義母さん、詩音君お願い!」
「ありがとうございます。助かります。
俺もさっき匂いで気付いて…」
「右京君、ありがとう。仁君頼むね。」
素直に喜んでくれる右京さんの様子にホッとした。
純粋に喜んでくれてる匂いがする。
正直、右京さんには報告しにくかった。
まめちゃんのことがあったから…
お義母さんにそれを伝えたら一蹴された。
『そんな!遠慮することないし、される方が辛いよ。
右京君だって、そんなのは嫌だと思うよ。
詩音君はいつも通りの詩音君でいいんだから。
ちゃんと詩音君から伝えてあげて!』
その通りだった。
自分の口から伝えることができて良かった。
あ、そうだ。
「あの…継にはまだ内緒で…ハッキリしてからでないと、ヌカ喜びさせちゃうから…」
「そうだね。勿論お義父さんや潤にもナイショで。
あーっ、楽しみだな。
仁君、お兄ちゃんになるのかぁ…これまた詩音君争奪戦が始まるぞ。」
ふにょふにょと笑う右京さんには、全くダークな匂いがしない。
「俺もなるべくお家のことするように努力するから、詩音君は無理しちゃダメだよ。
つわりとか酷かったら遠慮なく言って!」
お義母さんも、ふにょふにょと笑って聞いていたが
「詩音君もそうだけど、右京君も無理しちゃダメだよ。
頑張りすぎると義務的になって辛くなるから。
二人とも程々にね。」
「「はーい!」」
右京さんと顔を見合わせてぺろりと舌を出してくすりと笑った。
書籍の購入
ともだちにシェアしよう!