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芽生え③

いつもと変わらぬ食卓。 和やかな雰囲気の中弾む会話。 継から少し苛立ちの匂いがするのは、また取引先社長からの揶揄いのやり取りがあったせいだろう。(篠山さんからのメッセージで把握済みだ) 大人六人とチビ助二人…みんなのご機嫌な匂いと一緒に…まだまだ薄いけれど『ココニイルヨ』と俺のお腹から主張する匂いがふわふわと漂い交差している。 ふふっ、分かってるよ。 きっとさっきまで目覚めていなかったんだね。 俺だって気付かなかったんだもの。 ごめんね。 お義母さんや右京さんにも色で分かってしまうくらいにやっと自己主張できるようになったんだね。 自然と頬が緩んでいたのか 「詩音、何かいいことでもあったのか?」 ドキッ 「えっ!?いいえ、特に何もないですけど。」 「そうか?何だかうれしそうな匂いがするんだが…」 「俺はいつもうれしいですよ! ほら、継、お代わりはいかがですか?」 「そうか…うん、じゃあ軽くついで。」 「はい!」 その様子をお義母さんと右京さんが、ニコニコしながら見つめている。 あー、ヤバいヤバい。首捻ってる。何か勘付いた? 継ってそんなところには鋭いんだから。 「あれ?パパ!シャツのボタン取れかかってる。洗濯前に一旦外しとくから、脱いだら俺にちょうだい。」 「あー、ホントだ。 …かーちゃん、シャツだけでいいのか? 脱いだ後の俺はいらないのか?」 「…何みんなの前でさり気なくセクハラしてるの!? もー、止めてよぉ…恥ずかしい。」 「潤、今度の金曜日、優の保育参観があるんだけど、一緒に来れる? 平日だから無理しなくてもいいんだけど。」 「金曜?んー…明日秘書殿に聞いてみるよ。 ダメならごめん。」 お義母さんと右京さんが、継からの『?』を逸らしてくれてた。

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