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芽生え⑤

こちらに背中を向けないだけ少し大人になったのか。 憮然としたまま布団に潜り込んだ継の胸元に、電気を消してからそっと擦り寄った。 少々御機嫌斜めな匂いがする。 「…継…」 「………」 「継。」 「…お休み…」 「継ったら!」 「何?」 「ごめんなさい。でも、そんな態度は嫌です。 …ぎゅってして。」 継は無言で、それでも俺を抱きしめてくれた。 やがて 「詩音、ごめん。嫌な態度取った。」 「俺こそごめんなさい。でも」 「分かってる。体調とかいろいろあるんだろ? 俺の欲ばかり押し付けてもダメなのは分かってるんだよ。 今夜は大人しく寝るから、この次は…」 俺はもぞもぞと継のスウェットを捲り、下着の中に手を滑り込ませると、継自身に優しく触れた。 そこはもうしっかりと芯を持ち固くなっていた。 「し、詩音!?」 「せめてこうさせて。嫌な訳じゃないから。」 戸惑う継のズボンと下着をずらして楔を解放すると、もう一度両手で握った。 むわりと雄の匂いが鼻に付き纏う。 幹を伝う先走りが潤滑油となり、滑りが良くなってくる。カリ首をグリグリと擦り、先端の穴を抉ると、継の甘い声が漏れる。 薄闇の中、次第に荒くなる継の息遣いと、ぬちゃぬちゃと粘着質な音が聞こえる。 熱を持ち俺の手の中で一層大きく固くなった楔が… 「うっ」 低い呻き声と、両手にどくどくと放たれる継の分身達。 時間を掛けて数度吐き出した後、継は大きく息を吐いた。 俺はそっとティッシュでそれらを拭き取ると、先端に優しくキスをした。 「詩音…ありがとう。」 継は俺の頭を撫でキスを返してくれた。 音を立てないように二人で階段を降り、継がさっと下半身だけシャワーを浴びている間に、俺は両手を洗った。 今更ながら、随分大胆なことをしてしまったと恥ずかしくなってきた。

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