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憂慮③

優君をベッドに連れて行った右京さんもやってきた。 そして俺の横に来て、こっそり耳打ちされた。 「お義父さん、どうしたんだろう…いつものじゃない…」 「匂いも…それにお義母さんのこと名前で呼んでました…」 俺達は顔を見合わせて、不穏な空気を感じていた。 やがて。 お義父さん一人で部屋から出てきた。 お義母さんは!? 閉ざされた扉は開く気配もない。 嫌な予感がする。いや、嫌なことしか考えられない。どうしよう。 継のスウェットの裾をぎゅっと掴んだ。 「みんな、ちょっとリビングに来てくれるかな? 右京君、潤も呼んできてくれる?」 「はい!」 パタパタと右京さんが慌ててお義兄さんを呼びに行った。 「親父、何?明日早いから寝かせてよー。 あれ?お袋は?」 「…かーちゃんはいいんだ。 さ、みんな座って。」 L字型のソファーに俺達四人が座った。 ドキドキ動悸がする。 お義父さん、一体何を話そうとしてるんだろう。 お義母さんは…先に聞いた、ってことだよね。 それで部屋から出てこないって…まさか。 「今日、年に一度の健康診断に行ってきたんだよ。 それでね…単刀直入に言うと、胃に悪性腫瘍が見つかって、余命はあと二カ月らしい。 もう身体のあちこちに広がって、手術もできないから、このまま痛みを散らしながら寿命を全うしようと思う。」 淡々と告げるお義父さん。 余りの衝撃の内容に頭が真っ白になった。 継も。お義兄さんも。右京さんも。 吃驚して誰も言葉を発しない。 「俺が元気なうちにはっきりした財産の状況と遺産分割の相談に行ってたんだよ。 うちの顧問弁護士の稲葉さんのところ。 お前達が揉めることは絶対にないと思うんだが、万が一お前達以外の親戚連中が横槍を入れてきても大丈夫なようにな。」

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